更新日:2025/12/6
ヒトと同じように犬や猫にも便秘は存在し、特に猫においては高齢になると便秘で悩む子は多くなります。
おうちの子は毎日快便ですか?
何日便がでなかったら動物病院に行くべき?
食事でなにかできることは?
犬や猫が「便が出ていない状態で嘔吐する」場合、
単なる便秘ではなく 消化管の異常や緊急性のある病気 が隠れていることがあります。
特に猫では便秘が慢性化しやすく、
嘔吐や食欲低下を繰り返すことで脱水が進行し、さらに便が出にくくなるという悪循環が起こります。
この記事では、
便秘と嘔吐が同時に起きたときに考えるべき病気・危険なサイン・受診の目安 をわかりやすくまとめています。

便秘とは?
まず何日便が出ないと便秘なのでしょうか?
これに関して、何日間排便がなければ便秘であるといった明確な規定はなく,個体差があります。
つまり、食事量や食事内容によっては3日に1回出れば十分な子もいれば、
毎日出るべき子もいます。
つまり、便秘とは,
何日も排便しないか、排便するが量が少なく,残便感があるといった状態のことで、
肛門へ向けて便を送る運動がうまく行われずに便が大腸にとどまってしまう病態です。
便秘が続くと気持ち悪くなり、食欲の低下や嘔吐が見られます。
これら何かしらの症状を伴う便秘は早めに動物病院で治療してあげる必要があります。
ただし、尿と違い便が数日出ないことで緊急事態にはなりませんので、
便が出ない原因と症状をよく考え観察する必要があります。
便秘と嘔吐はなぜ同時に起こりやすい?
便秘が続くと、腸管の動きが悪くなり、胃や小腸にも影響が出ます。
● 腸の中に便がたまり、圧力が上がる
● 胃が圧迫され、吐き気が出やすくなる
● 腸の動きが弱まり、食べ物が進まなくなる
● 腸内ガスが増え、さらに気持ち悪くなる
この悪循環で 「便秘 → 食べない → 嘔吐 → 脱水 → さらに便秘」 という流れになりやすくなります。
特に猫は嘔吐しやすい動物で、便秘が原因で吐くことも珍しくありません。
便秘のときに見られる主な症状
- トイレに長くいる
- いきむが出ない
- 少量のコロコロ便
- 食欲が落ちる
- 嘔吐(黄色い液・胃液・食べた直後に戻す)
- 元気がない
- お腹が張る
重度になると、腸に便が詰まる 「巨大結腸症」 に進行することもあります。
便秘の原因
便秘の原因はさまざま考えられますが、大きくしたの6つのどれかであることが多いです。
①閉塞や狭窄
直腸含めた消化管の便の通り道が何かしらの原因で狭くなっていることです。
異物や腫瘍、ヘルニアなどがその原因となります。詳細は別のコラムで。
②排便行為の困難
肛門周りの痛みや神経異常により排便姿勢をとれないことなどが考えられます。
③環境
特に猫において、トイレ環境が整っていない場合や生活環境の変化があった場合は排便回数の減少が認められます。
④食事
ドライフードの食事内容によっては便質が硬くなる場合があります。
経験上PHコントロールなどは便が硬くなることが多い印象です。
⑤全身性の病気
高カルシウム血症や、低カリウム血症、甲状腺機能低下症などの病気で便秘につながることがあります。
⑥猫の巨大結腸症
別のコラムでまとめます。
便秘+嘔吐で疑うべき病気
便秘と嘔吐が同時に見られるとき、次の病気の可能性があります。
■ 1. 単純な便秘
水分不足、毛玉、食物繊維不足、運動不足など。
■ 2. 巨大結腸症(特に猫)
腸の動きが低下し、便が溜まり続ける慢性疾患。
嘔吐・食欲不振を伴うことが多く、治療が必要です。
■ 3. 脱水(熱中症・病気・高齢)
脱水により腸が動かなくなり、便秘と嘔吐が悪化します。
■ 4. 誤食による腸閉塞(最重要)
おもちゃ、紐、骨、布、異物など。
→ 嘔吐+排便なしは腸閉塞の可能性があり、緊急性が高い。
■ 5. 膵炎・腎臓病・肝疾患
嘔吐を引き起こし、二次的に便秘になることがあります。
■ 6. 脊椎疾患(犬)
腰を痛めて排便姿勢が取れず、便が溜まるケース。
■ 7. 腫瘍(結腸・直腸・骨盤周囲)
腫瘍が腸を狭くし、便秘・嘔吐につながります。
嘔吐が続く場合は、便秘とは別の重大な病気が隠れていることも多いため、早めの受診が必要です。
危険な症状(緊急受診が必要なケース)
次の症状がある場合は すぐに動物病院へ。
- 何度も吐く(黄色い液・泡・食べたもの)
- 便が丸2日以上まったく出ない
- お腹がパンパンに張っている
- 元気が急になくなった
- ぐったりしている
- 血便
- 硬い便が出口で詰まって触れる
- 異物誤食の可能性がある
- 苦しそうに力むだけで出ない
特に 「嘔吐を伴う便秘」=腸閉塞の可能性があるため注意が必要 です。
診断に必要な検査
病院では、原因に応じて以下の検査を行います。
- 触診(便のたまり具合、腹痛の有無)
- X線(便の位置・腸閉塞の確認)
- 超音波(腸管の動き、腫瘍、異物)
- 血液検査(脱水・腎臓・電解質)
- 必要に応じて浣腸や排便処置
「ただの便秘と思っていたが実は腸閉塞だった」というケースは意外と多いため、嘔吐がある場合は検査が非常に重要です。
便秘の治療
治療のポイントは下記の3つになります。
①便秘の原因を除去すること
原因の項目で挙げた便秘を引き起こしている原因を除去します。
便の通過障害を起こしている場合は外科的介入も必要となります。
猫のように慢性的な便秘の場合はトイレなどの生活改善および食事変更を行います。
食事は有無を言わさず、
ロイヤルカナンの消化器サポート 可溶性繊維 です。
この食事の1強です。
ただ、本人が好んで食べてくれるかわからないので、まずは少なく安い500gで嗜好性を試してみるのが良いでしょう。
ほか足すのであれば消化に良さそうな缶詰が良いと思います。
②対症治療ー浣腸と下剤
原因に関わらず、便秘によってなにか症状がでている場合はまず溜まった便を排出させる必要があります。
浣腸は便を柔らかくする浣腸液をぬるま湯で溶かし、肛門から注入し、
便を柔らかく小さくしてかき出します。
浣腸の際は脱水症状にならないように、点滴をセットで行います。
下剤は浣腸とセットで行うことが多いですが、便を柔らかくして出やすくするものです。
ほとんどの場合は液体の飲み薬になり、1日1~2回内服します。
治療方法まとめ
治療は原因によって異なりますが、一般的には次のような対処を行います。
● 軽度の便秘
- 水分補給(皮下点滴含む)
- 食事変更(消化の良い食事、繊維量調整)
- 下剤(ラクツロース等)
- 整腸剤
● 重度の便秘・巨大結腸症
- 浣腸・排便処置
- 入院して点滴
- 下剤の長期調整
- 場合により外科手術(結腸切除)
● 腸閉塞が疑われる場合
→ 緊急手術が必要になることがある
● 脱水・病気が背景にある場合
→ 原因疾患(腎臓・肝臓・膵炎)への治療
嘔吐がある=体力を消耗しやすいため、早期治療が回復の鍵になります。
自宅でできるケア(軽度の便秘の場合)
※嘔吐がある・元気がない場合は自宅ケアでは危険です。
- 新鮮な水を複数の場所に置く
- ウェットフードを増やし、水分量を確保
- 繊維量の調整(増やしすぎると悪化することも)
- 運動を増やす
- ブラッシングで毛玉の飲み込みを減らす
- お腹を優しくマッサージ
ただし便秘が繰り返す場合は、必ず原因精査が必要 です。
慢性便秘になりやすい子の特徴
- 高齢
- 運動不足
- 肥満
- 長毛種(毛玉)
- 慢性腎臓病
- 以前便秘で治療したことがある
- 結腸の神経疾患
- 直腸周囲に腫瘍や前立腺肥大がある犬
徐々に悪化するため、日々の排便チェックが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 便秘のときに吐くのは普通ですか?
→ 軽度でも起こりますが、腸閉塞の可能性もあるため注意が必要です。
Q. 何日便が出なければ危険?
→ 2日出ず、さらに嘔吐・食欲不振がある場合は受診を推奨します。
Q. 便秘は自然に治りますか?
→ 原因次第ですが、嘔吐を伴う場合は放置すると悪化します。
Q. 浣腸を家でしても良い?
→ 危険です。誤って腸を傷つける可能性があり、必ず動物病院で行ってください。
まとめ
犬猫の便秘は、原因によりかなり治療が異なります。
経験的に犬の場合で本当の便秘である場合、腸を便が通りにくくなっている狭窄や閉塞があることが多く、
逆に、
猫の場合、高齢になり、脱水症状と食事の影響で便が硬くなり通りが悪くなっていることがほとんどです。
その子の便秘の原因が何か、
どうしてあげるべきなのかをしっかり見極めて、
適切に管理、治療していただけたらと思います。
⬇️おすすめの猫の便秘食⬇️
猫の食事療法一覧
【完全版】獣医師おすすめのキャットフード~健康猫から病気別~
『犬猫自宅レンタル酸素室』 国内シェアNo1の酸素室メーカー! 全国どこでも × 24時間365日対応! レンタル料金が酸素メーカー最安! 👉まずは気軽にメールで相談♪