おうちの猫ちゃんはよく吐きますか?
たまに吐きますか?
まったく吐きませんか?
恐らく多くの方は上のふたつどちらかかと思います。
猫ちゃんは色々な原因でよく吐きます。
しかし、同じ「吐く」でも、少し様子見ていい場合と緊急性があり様子を見ては絶対にいけない場合があります。
今回は猫ちゃんの「吐く」の様子の見方をお話します。
我々獣医師は以下のようなことを考えて診察しています。
様子を見ていい嘔吐
猫ちゃんは健康な状態でも吐くことがあります。
治療を必要としない嘔吐で多いものは
毛玉と朝方の胃液(黄色い液と泡)をたまに吐くことです。
猫ちゃんは綺麗好きですのでよく毛繕いをします。
また、痒いときは掻くのでなく舐めます。
そのため、特に長毛種では毛玉が胃の中に溜まり、
溜まり過ぎると気持ち悪くて吐き出します。
また、朝方は空腹になり、胃の中に胃液が溜まります。
胃液が溜まると気持ち悪くなるので吐きます。
これを空腹時嘔吐といい、健康な子でもおこります。
それ以外は何か原因があり吐いてる可能性が高いです。
この場合はまず、以下の点を確認します。
①食欲はあるか?下痢していないか?
②生活(食事)内容に変化はないか?
③何か誤食した可能性はないか?
④その後、どのくらいの頻度で、いつまで吐くか?
この4つを考え、緊急性を判断してください。
動物病院に行くべき嘔吐
先ほどの4点を確認し、病院に行くか判断してください。
①食欲はあるか?下痢していないか?
食欲が低下している場合や下痢をしている場合は、
何か病気に伴う嘔吐と考えられます。
その重症度はその子によってさまざまですが、
ここに異常を認める場合は動物病院を受診してください。
若くて軽度であれば、一過性の胃腸炎が多いですが、
様々な原因で嘔吐は起こります。
②生活(食事)内容に変化はないか
何かいつもと違ったものを食べた場合や、食べすぎた場合、
一気に食べた場合は食物有害反射により吐きます。
この場合は、少し様子を見て見ましょう。
その後繰り返し吐く場合は③④を確認します。
③何か誤食した可能性はないか
これは若い猫ちゃんでとっっっても多い原因であり、
かつ特に緊急性があります。
見る限り何もなくなっていないように見えても、
ヒモや毛布やビニール、ティッシュなど口にしうる様々なものは腸閉塞の原因になります。
普段から何かを口にしやすいタイプの猫ちゃんはここは要注意です。
今まで数多くの猫ちゃんの腸閉塞を手術してきましたが、多くの飼い主さまは心当たりはない!とおっしゃります。
しかし、若い猫ちゃんが急に何度も吐き始める場合はまずここを考え、すぐに動物病院に行きましょう。
明らかにその疑いがない場合は、様子を見て④を確認します。
④その後、どのくらいの頻度で、いつまで吐くか?
一度吐いた後にまた吐かないかどうか、まず様子を見ましょう。
一度吐いた後、少し時間(30分以上)が経ってからまた吐く場合や、
その後時間を置いても繰り返し吐く場合は、何か原因がある可能性がありますので、動物病院を受診します。
また、その後しばらく吐かない場合は①~③に注意し様子を見てみましょう。
一過性の原因であれば、吐かなくなり、ご飯も食べて普段通りしてくれるはずです。
嘔吐する様々な病気
様子を見たくない吐く病気で多いものを下記にまとめます。
誤食
【緊急】犬猫の誤飲~元気?手術?費用は?~
腎不全
男の猫ちゃんトイレはスムーズですか? ~猫の尿路閉塞と緊急要する症状~
膵炎
よく吐く猫。それって膵炎? ~症状・治療・糖尿病?~
お腹のリンパ腫
【経験談】猫のリンパ腫 ~どうなる?予後は?完治する?実際の抗がん剤治療例~
これらは病的な嘔吐を繰り返します。また、必ず治療を必要とし、適切な治療が早期に行われなければ急に死に至る病気です。
猫ちゃんの嘔吐はよくあるゆえに軽視しがちですが、
必ずポイントを押さえて様子を見るようにしてくださいね。
正しい知識があれば焦ることなく様子を見れますし、また緊急を要する病気を見落とす心配がなくなると思います。
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