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獣医師が伝える犬猫の病気や治療の考え方

犬と猫の薬はネットで買っても大丈夫?安全性・注意点・見分け方を獣医師が徹底解説

更新日:2025/12/9

フィラリア薬、ノミダニ薬、サプリメントなど、
犬や猫の薬をネットで購入する飼い主さんが増えています。

一方で、

・本物?偽物?
・海外製の強い薬は危険?
・病院でもらう薬と何が違う?
・自己判断で買って大丈夫?

など、多くの不安や誤解もあります。

この記事では、
犬猫の薬をネットで購入するときに絶対知っておくべきポイント
獣医師がわかりやすく解説します。

目次

ネットで買える薬には「安全なもの」と「買うべきでないもの」がある

まず大前提として、ネット購入には以下の2種類があります。

■ ① 正規ルートで流通している市販薬・サプリ(比較的安全)

・動物用サプリメント
・動物用シャンプー
・一部のノミダニ予防薬(市販タイプ)
→ 比較的安全性が高く、成分も明確。

■ ② 海外処方薬・並行輸入品(注意が必要)

・フィラリア予防薬
・ノミダニ予防薬(処方薬タイプ)
・ステロイド
・抗生剤
→ 日本では 要指示薬(本来は診察が必要) に該当するものも多く、リスクがあります。

ネット購入で問題が起きるのは主に②です。

ネット購入で起こりやすいトラブル

■ 偽物・成分違いの商品が混在している

海外薬品は偽造品の報告があり、
・有効成分が少ない
・まったく別の成分
・期限切れ
などのリスクがあります。

■ 体重に合わない薬を誤って購入

犬猫の薬は体重で用量が決まるため、自己判断は危険です。

■ 持病に合わない薬を使って悪化した例

・腎臓病
・心臓病
・てんかん
など、薬との相性が悪いケースがあります。

■ 副作用が出た時に対処が遅れる

ネット購入薬は動物病院側で成分・安全性が不明なため、
治療が難しくなることもあります。

特にネット購入に注意が必要な薬

■ フィラリア予防薬

本来は
・心臓
・肝臓
・寄生虫の有無
の確認が必須です。

感染した状態で誤って飲ませると、
ショック症状 を起こすことがあります。

■ ノミダニ薬(処方が必要なタイプ)

犬種によっては 神経症状が出るリスク があります。

■ 抗生剤

耐性菌の問題があるため、
獣医師の診断なしで使用すべきではありません。

■ ステロイド・痛み止め

・腎臓病
・胃潰瘍
・糖尿病
などを悪化させることがあります。

個人購入/輸入の考え方

ペット医薬品はヒトの薬と同様に薬事法と呼ばれる法律で管理されています。

この薬事法においては、ペット用の医薬品の購入や輸入は個人の飼育するペットに対して、

個人の利用に対しては認められています。

つまり、ご自身のペットに対して購入、輸入し使用することは可能であるということです。

詳しくは下記に詳しく記載されていますので、

【ペットくすりの個人購入について】

をお読みください。ネットで購入しても比較的安全なもの

以下は比較的リスクが低く、正規店であれば安全に利用しやすい商品です。

・サプリメント
・動物用シャンプー
・爪切り・ケア用品
・おやつ・フード
・市販タイプのノミダニ薬(要指示薬でないもの)

ただし 「必ず正規販売店で購入すること」 が前提です。

ネットで買う前に確認するべきチェックリスト

① 正規代理店か?
② 製造会社・成分・販売元が明記されているか?
③ 過剰に安すぎないか?(偽物の可能性)
④ 評判・レビューに不自然な点がないか?
⑤ 大切なポイント:
 「体重・年齢・基礎疾患との相性が合っているか?」

疑問があれば、動物病院で商品の写真を見せて相談できます。

動物病院で購入するメリット

ネットにはない大きな利点があります。

■ ① 体重・持病に合わせた正確な処方

薬の量や種類を誤る心配がありません。

■ ② 副作用や相互作用を考慮してもらえる

既往歴・腎臓・肝臓の数値なども確認できます。

■ ③ 万一のトラブル時にすぐ対応できる

薬の内容を把握しているので迅速な処置が可能です。

■ ④ 最新の薬が手に入りやすい

処方薬の方が効果や安全性が高い場合があります。

ネットと動物病院の「使い分け」が最も現実的

最も安全で、費用も抑えやすい方法は次の通りです。

■ ネット購入でOKなもの

・サプリ
・ケア用品
・市販ノミダニ薬
・正規品のフード

■ 動物病院で購入すべきもの

・フィラリア薬
・処方ノミダニ薬
・抗生剤
・痛み止め
・ステロイド
・てんかん薬
・腎臓・心臓の薬

この“線引き”が非常に重要です。

個人購入/輸入可能な薬と予防薬

個人購入/輸入されている薬剤は下記のとおりです。

痒み止め:アポキル、シクロスポリン(ネオーラル)

各種フィラリア/ノミダニ予防薬

痛み止め:オンシオール、プレビコックス

吐き気止め:セレニア

その他:フラジール、ウルソ

上記以外にも購入可能な薬剤はあるようです。

痒み止め(アポキル、シクロスポリン)

痒みの治療に関して詳しくまとめています。

正しく理解して使用ください。

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フィラリア/ノミダニ予防薬

基本的に日本は遅くても4月から予防を開始します。

詳しくは下記にまとめています。

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痛み止め(オンシオール、プレビコックス)

痛み止めは言葉を話せない犬猫にはとても大切な治療になります。

しかし、用法用量によっては内蔵への影響があります。最も注意が必要です。

下記に鎮痛治療のポイントをまとめています。

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吐き気止め(セレニア)

セレニアは極めて安全×優秀な吐き気止めです。

正しい使用方法は下記をご覧ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. ネットだと病院より安いので問題ないのでは?

→ 価格差よりも「安全性・偽物・副作用リスク」の方が大きいことがあります。

Q. 本物かどうかはどうやって見分ける?

→ 正規代理店の証明、ロット番号、箱の品質などを確認します。

Q. 病院で買わずネットで買ったことを言いにくい…

→ 言っていただいた方が安全です。多くの獣医師は気にしません。

Q. ネットで買った薬を病院で使ってもらえますか?

→ 成分不明な製品は治療に使えない場合があります。

まとめ(この記事の要点)

・犬猫の薬はネットで買えるが、安全なものと危険なものがある
・フィラリア薬・抗生剤・ステロイドなどは自己購入NG
・偽物・期限切れ・成分違いのリスクがある
・ネット購入の前に「正規店か・体重や持病に合うか」を必ず確認
・サプリやフードはネットでも安全な場合が多い
・最も安全なのは“ネットと病院の合理的な使い分け”

以下に獣医師の視点から、
治療中の犬猫に現実的に選ばれているフードをまとめまています。

▶︎ 犬猫に配慮したフードの考え方を見る

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